丸ゴシックを使いたいとき

これまで「伝わるデザイン」のウェブサイトでも本でも講演でも、「丸ゴシック」について触れてはいませんでした。なぜなら、丸ゴシックは「やさしい印象」をもつため、真面目な印象が求められるビジネスの場では使いどころが少ないと考えていたからです。しかし、最近「丸ゴシックを使いたいのですが、どうでしょうか?」という質問がちらほら。私たちも知らなかったのですが、発達障害や学習障害の人の中には「読みに困難」が生じる人が少なくないようです。ハネやはらいの尖った部分や明朝体の縦線と横線の太さが違うところなんかが、うまく認識できず読むのを難しくしているそうです。
ということで、今回は「おすすめの丸ゴシック」について紹介します。

※ヒラギノ丸ゴとUDデジタル教科書体の部分を修正しました。2017.12.10.

HG丸ゴシックM-PRO

そうはいっても、Windows PCには美しく読みやすい丸ゴシックフォントが搭載されていないのが現状です。唯一搭載されているのが「HG丸ゴシックM-PRO」です。独特の形でくせも強く、太字にも対応していないのでユニバーサルデザインの観点からもあまりおすすめできず残念です。会社でフォントのインストールが許可されていなければ、綺麗な丸ゴシックが搭載されるまで使っていきましょう。

源柔ゴシック

Windows PCには使える丸ゴシックが搭載されていないので、フリーフォントをダウンロードして使いましょう。少々面倒でも仕方がありません。おすすめなのは「源柔ゴシック」です。「源ノ角ゴシック(Noto Sans CJK)」の派生フォントで自家製フォント工房が作成しています。
文字もくせもなく綺麗で読みやすいですし、太さも7種類もあるのでとても使い勝手がよいでしょう。ダウンロードはこちら

図では上にNormal、下にBoldを使っています。

ヒラギノ丸ゴ Std

Macユーザーならば、ヒラギノ丸ゴ Stdを使うのもよいでしょう。ただし、太さがW4しか搭載されていないので使い勝手がよくないのが悩みどころです。

UDデジタル教科書体

丸ゴシック体ではありませんが、UDデジタル教科書体という教科書のためのユニバーサルデザインフォントもリリースされています(株式会社モリサワのタイプバンクフォント。詳しくはこちら)。障害者差別解消法の理念に基づき開発され、読みの困難な人にも認識しやすいようにデザインされたフォントです。Windows 10 Fall Creators Updateで無償配布されていますので、教育現場の資料が今後大きく変わっていくと期待されますね。

図では上に Regular、下にBoldを使っています。